「びょういんあーとぷろじぇくと」は、病院という、ある意味では閉ざされた空間で、そこに関わる多くの方へ心の栄養、癒し、励ましの役割を担えるということを「絵を飾る」ことではなく「展覧会を企画する」ということではじめた、画期的な試みだったと思います。鑑賞されることを前提としない作品を、鑑賞されるという方向に、しかも心や体に支障のある方や、それを支えている方々、つまり命と向き合わざるを得ない方たちを対象に展示しています。このように前例のない、見る人を限定した展覧会を続けてこられたのは病院側とスタッフが手探りで、知恵を出し合い、企画、広報、設置等を行ってきたからだけではなく、見てくださる側が、共感という形で作品の向こう側と繋がったことに他ならないでしょう。皆様のおかげで、様々な形の「びょういんあーとぷろじぇくと」という企画を開催し、様々な形の企画がありましたが、一貫して変わっていないのは、「びょういんあーとぷろじぇくと」は、必要なところへアート作品を「贈り物」として届ける、という形を継続していることです。
この度は「黒い森美術館」様より2016年度「良い木を植えたで賞」を頂き、感謝すると同時に、アート作品を展示するということは、展示する側の思いや発信という時代から、鑑賞する側の思いや発信も含めて「繋がる」ことで変化していく、今はそんな節目にいるのではないかと強く感じるようになりました。
これからも多くの方と「びょういんあーとぷろじぇくと」を通して繋がっていけることを願い、展示させていただく病院側のスタッフの方、多くの病院に関わる方のご理解とご協力に心から感謝申し上げます。
びょういんあーとぷろじぇくとスタッフ一同
●札幌ライラック病院1階「待合室と通路」
2017年5月1日(月)〜7月31日(月)12:00〜18:00
●黒い森美術館
「びょういんあーとぷろじぇくとの仲間たち」展
2017年6月12日(月)、13日(火)、14日(水)、19日(月)、20日(火)、21日(水)10:30〜15:30
●「光の天使」と出会う
文:詩人・美術評論家 柴橋伴夫(しばはしともお)
●病院に天使が描かれる日には
文:緩和ケア医・一級建築士 おだこうじ