2015/12/21(月) ~ 2016/3/21(月) 12:00-18:00

「ひかりの庭」

北の峯学園芸術創作活動展(場所:北海道がんセンター)
唐神知江 ドローイング展(場所:札幌ライラック病院)

『びょういんあーとぷろじぇくと』は、病院にアートがあることで、病院に関わる多くの方に、安らぎや心のゆとりを持って過ごしていただきたいと願って行ってきた活動です。

最初は2008年秋、障がいや病を抱えた人たちのアート作品を、札幌ライラック病院の待合室に展示する企画として始まりました。

展示を何気なく眺め、足を止めて見て下さった患者さまやご家族から、「明るい気持ちになりました」「優しさや温かさを感じ、今日も頑張ろうと思いました」などの声を、医療スタッフからも「会話が増えました」という言葉をいただき、そうした声に励まされ、この度、第10回の節目を迎えることができました。

本企画「ひかりの庭」展は、北海道がんセンターと札幌ライラック病院のご協力の下、障がい者支援施設「北の峯学園芸術創作活動」と、新進気鋭の画家 唐神知江の作品展を2会場で同時開催させていただくことになりました。

北海道がんセンターでは、北の峯学園の皆さんの日常生活の中で生まれた作品から、富良野の光や水、空気、季節の美しさを感じていただければ幸いです。

札幌ライラック病院においては、20代を海外で暮らし研鑽を積んだ唐神知江が、地元札幌に戻り、あらたに画家の立ち位置から社会との関係性に向き合います。

『びょういんあーとぷろじぇくと』は、病院をコミュニティーのひとつと考え、地域との繋がりを大切にしながら、コンサート、ワークショップ、レクチャーなどにも取り組んで参りました。10回目となる本展では、オープニングに、札幌北高等学校合唱部によるクリスマスの歌を皆さんにお届けいたします。

2つの医療の場での同時開催は初めてです。

いろいろな人がこの企画にかかわって下さることで、『びょういんあーとぷろじぇくと』は形づくられていくものと思います。病院にアートがある意味と、その可能性についてをこれからも皆さんと一緒に考えていけたらと願っています。

特別寄稿

病院にアートがあることで何が起こるのでしょう?
見た目の美しさ? それとも、見る人の気持ちの癒しでしょうか?
治療に特化しがちな病院空間に、例えば一枚の絵、一枚のキルトがあることで、美しいものを愛する誰かの存在がそこに立ち現れます。その場がそうした人間の感受性を大事にしている「人間の空間」であることを、アートが宣言してくれています。
「びょういんあーとぷろじぇくと」は、病院にアートが持つ力を呼び入れようと、7年前から札幌ライラック病院での展示を中心に活動してきました。代表で画家の日野間尋子さんは「創作は、人間を知ろうとすることであり、どう生きるかを学ぶこと」と語ります。であればこそアートは、医療関係者、事務局、患者などそれぞれの役割と立場を超えて、個別の人間の感性を呼び覚まし、そこに新たなコミュニケーションを呼び込んでくれているのかもしれません。
この冬にお届けする企画展「ひかりの庭」で、どうぞそっと深呼吸し、そこに揺らいでいる光に触れ、あなたの耳を澄ませてみてください。 文:加藤康子

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