2014/9/1(月)~2015/3/31(火) 12:00-18:00

「silent breath」

上嶋 秀俊 展

 「びょういんあーとぷろじぇくと」は、病院にアートがあることで病院にかかわる多くのかたに、安らぎや心のゆとりを持って過ごしていただきたいと願い行ってきた活動です。
7年目、第8回展となった本企画は、美術家、上嶋秀俊氏の作品群“silent breath”を、待合室全面に飾らせていただいています。
 作家の息遣いと手のぬくもりが、はりつめた空気を和らかに。ふと、さいなまれる不安感や孤独感を、自然の中にある植物や水、光の内に、小さく聴くことができますように。
 医療の場が、表現の場としてありうるということ。
 生ききる人のために、“アートが医療にできること”という命題についてを、あらためて、皆さんと考えさせていただければ幸いです。

2014年8月吉日
びょういんあーとぷろじぇくとスタッフ一同

特別寄稿

ライフ イン ホスピタル

文:おだこうじ(緩和ケア医/一級建築士)

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“ひとけ”の風としてのアート

文:蓮 見 孝 札幌市立大学(理事長・学長)

「びょういんあーとぷろじぇくと」は、殺風景になりがちな療養環境に吹き込む“ひとけ”の風。それによって、患者のみならず医療スタッフの心にも、ゆとりがうまれるはずです。

経済成長の時代は、豪華客船に乗って旅をするようなものでした。お金さえあれば、至れり尽くせりの社会サービスが受けられたのです。その原資が怪しくなってきた今、わたしたちの乗る船は、レガッタのようなものになるかもしれません。みんなで声をかけあい力をあわせて、スローな旅を楽しむのです。

そのためには、一人ひとりが潜在的に有している個性や技能を発揮し、社会を支えあっていくことが大切です。それを楽しみに変えることで、生きる意義を感じ取れるはずです。

人の歴史とともにあったアートは、時に宗教に取り込まれたり、貴族のなぐさみものになったりしながら、生きながらえてきました。今、人に生きる喜びを実感させる、というアート本来の役割を発揮する時がやってきたようです。それを病院で実践し、アートの力を示していく「びょういんあーとぷろじぇくと」に期待します。

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